相続放棄の期限3か月の数え方|死亡日か知った日か・土日のとき・過ぎたとき

相続放棄の期限「3か月」が、いつから・どの日までなのかを、条文と裁判所の案内にもとづいて整理しました。亡くなった日を入れるだけで期限日を出す相続の期限カレンダーもあわせてお使いください。

この記事の要点

  • 相続放棄の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内です(民法915条1項)。多くの場合は亡くなった日と同じ日ですが、後から知った人は知った日から数えます。
  • 数え方は初日を入れず(民法140条)、3か月後の同じ日が期限です。同じ日がない月は、その月の末日です(民法143条2項)。
  • 期限が土日祝に当たっても、民法の期間が延びるとは限りません(民法142条)。前の平日までに申述するのが安全です。
  • 3か月で決められないときは、期限内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます(民法915条1項ただし書)。
  • 何もせずに3か月を過ぎると、単純承認をしたものとみなされます(民法921条2号)。

1. 3か月の期限を定める条文

相続放棄の期限は、民法915条1項に定められています。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。民法915条1項(e-Gov法令検索で2026年10月15日に確認)

この3か月は「熟慮期間」と呼ばれ、相続人はこの間に、財産も借金もすべて引き継ぐ(単純承認)、引き継いだ財産の範囲で借金を払う(限定承認)、何も引き継がない(相続放棄)のいずれかを選びます。同じ条の2項では、承認や放棄をする前に相続財産の調査をすることができるとされています。

相続放棄は、家庭裁判所に「申述」して行います(民法938条)。親族どうしで「私は相続しない」と話し合ったり、遺産分割協議で何も受け取らないことにしたりするだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。

2. 起点は「死亡日」か「知った日」か

条文の起点は、亡くなった日そのものではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。裁判所の案内も「自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内」と説明しています。

同居の家族など、亡くなった日に知った場合

亡くなった当日に知った場合は、亡くなった日が起点になります。実際には、この場合がもっとも多いと考えられます。相続のこよみの期限カレンダーも、通常は「亡くなった日=知った日」として計算し、知った日が違う場合だけ別の日を入れられるようにしています。

疎遠で、後から亡くなったことを知った場合

長く連絡を取っていなかった親族が亡くなり、しばらくしてから知らされた場合は、条文の文言どおり「知った時」から数えます。いつ知ったかを後から説明できるよう、知らせを受けた手紙・メール・通知などは保管しておきましょう。

先の順位の人が全員放棄して、自分が相続人になった場合

子が全員相続放棄をすると、その子ははじめから相続人でなかったものとみなされ(民法939条)、次の順位の父母(直系尊属)、さらに兄弟姉妹へと相続人が移ります(民法889条1項)。この場合、次の順位の人にとっては、自分が相続人になったことを知った時が条文上の「自己のために相続の開始があったことを知った時」に当たります。先順位の人から放棄したと知らされた日などを記録しておくと安心です。具体的な起算点に不安があるときは、申述先の家庭裁判所に確認してください。

相続人が未成年者・成年被後見人の場合

相続人が未成年者や成年被後見人のときは、3か月の期間は、その法定代理人が本人のために相続の開始があったことを知った時から数えます(民法917条)。また裁判所の案内では、未成年者と法定代理人がともに相続人である場合など、未成年者について特別代理人の選任が必要になる場合があるとされています。

3. 3か月の数え方と計算例

民法では、日・週・月・年で期間を定めたとき、初日は算入しません(民法140条)。月で定めた期間は暦に従って数え(民法143条1項)、最後の月の「起算日に応当する日の前日」に満了します。最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了します(同条2項)。

初日を入れないので起算日は「知った日の翌日」です。その応当日の前日は、結果として3か月後の、知った日と同じ日付になります。

知った日3か月の期限(法律上の末日)ポイント
2026年6月20日2026年9月20日(日)同じ日付。日曜に当たる(4章)
2026年8月31日2026年11月30日(月)11月31日がないので月末
2026年11月30日2027年2月28日(日)2月30日がないので月末。日曜に当たる
2026年10月1日2027年1月1日(金・元日)祝日に当たる

表の日付と曜日は、民法140条・143条の数え方で計算し、相続のこよみの検算テストで確かめたものです。

「3か月=90日」と日数で数えると、月によっては期限を数日過ぎてしまうことがあります。日数ではなく、暦の上で3か月後の同じ日と覚えておきましょう。

4. 期限が土日祝に当たったとき

民法142条は、期間の末日が日曜日・国民の祝日・その他の休日に当たるときは、「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」期間は翌日に満了すると定めています。

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。民法142条(e-Gov法令検索で2026年10月15日に確認)

このように民法の期間は、税金の期限のように「休日なら翌日」と一律に決まっているわけではありません(税の期限は国税通則法10条2項で、休日に当たれば翌日とみなされます)。相続放棄の期限が休日に当たる場合に翌日まで延びるかどうかについて、裁判所の案内ページでは確認できませんでした。

そのため相続のこよみでは、期限が土日祝に当たるときは前の平日を「動ける最終日」として表示し、法律上の末日もあわせて示しています。上の例で、2026年6月20日に知った場合の法律上の末日は9月20日(日)ですが、動ける最終日は9月18日(金)です。郵送で申述する場合は、届くまでの日数も見込んでおきましょう。

5. 3か月で決められないとき(期間の伸長)

借金があるかどうか分からない、財産の調査に時間がかかるなど、3か月以内に承認か放棄かを決められないときは、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます(民法915条1項ただし書)。裁判所の案内によると、次のとおりです。

申立人利害関係人(相続人も含む)、検察官
申立ての期間自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
申立先被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
費用収入印紙800円分(相続人1人につき)、連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)

大切なのは、伸長の申立ても3か月以内にする必要があることです。期限を過ぎてから伸ばしてもらうことはできないので、迷っているうちに期限が近づいたら、まず申立てを検討しましょう。伸長が認められるか、どのくらいの期間になるかは家庭裁判所の判断です。

6. 期限を過ぎたとき・期限内でも気をつけること

何もしないまま3か月を過ぎた場合

民法921条2号により、相続人が915条1項の期間内に限定承認も相続放棄もしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます。単純承認すると、相続人は亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぎます(民法896条)。プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

期限を過ぎた後に借金が見つかったなど、個別の事情がある場合の扱いは、このページでは扱いません。すでに期限を過ぎている場合は、早めに弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。

期限内でも、財産を処分すると単純承認とみなされる

民法921条1号では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときも単純承認をしたものとみなすとしています(保存行為などは除く)。相続放棄を考えているときは、預金を引き出して使う、不動産や車を売るといった行為は、判断がつくまで控えましょう。また、限定承認や放棄をした後でも、相続財産を隠したり、ひそかに使ったりすると単純承認とみなされます(同条3号)。

放棄は撤回できない

相続の承認や放棄は、3か月の期間内であっても撤回できません(民法919条1項)。放棄した人は、はじめから相続人でなかったものとみなされ(民法939条)、その人の子が代わりに相続すること(代襲相続)もありません。代襲相続の原因は、相続開始以前の死亡・相続欠格・廃除に限られているためです(民法887条2項)。放棄によって次の順位の親族が相続人になることもあるので、必要に応じて知らせておきましょう。

限定承認は相続人全員で

限定承認は、相続人が数人あるときは全員が共同してのみできます(民法923条)。財産の目録を作って3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります(民法924条)。

7. 相続放棄の申述の方法

裁判所の「相続の放棄の申述」の案内による概要です。

  • 申述人:相続人本人。未成年者・成年被後見人の場合は法定代理人が代理します。
  • 申述先:被相続人の最後の住所地の家庭裁判所。
  • 費用:収入印紙800円分(申述人1人につき)と、連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)。
  • 主な書類:申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本。申述する人の順位(配偶者・子・父母・兄弟姉妹など)によって、追加の戸籍が必要です。

必要な戸籍は順位によって大きく変わります。最新の書式と必要書類は、裁判所の案内ページと申述先の家庭裁判所で確認してください。

次の一歩

よくある質問

相続放棄の3か月は、亡くなった日から数えますか?

条文上は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内です(民法915条1項)。亡くなった日に知った場合は亡くなった日が起点になり、後から知った場合は知った日が起点になります。初日は数えないので、3か月後の同じ日付が期限です。

期限の日が日曜日や祝日のときは、翌日まで延びますか?

民法142条は「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」翌日に満了すると定めており、一律に延びるとは言い切れません。確実を期すため、前の平日までに申述することをおすすめします。

3か月では借金があるか分かりません。どうすればいいですか?

3か月以内に、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てられます(民法915条1項ただし書)。申立ては3か月以内にする必要があり、費用は相続人1人につき収入印紙800円分と郵便切手です(裁判所の案内)。

相続放棄をしたら、自分の子どもが代わりに相続しますか?

しません。放棄した人ははじめから相続人でなかったものとみなされ(民法939条)、代襲相続の原因は死亡・相続欠格・廃除に限られるためです(民法887条2項)。

相続放棄の申述には、どんな書類と費用が必要ですか?

共通して、申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本が必要で、申述する人の順位(配偶者・子・父母・兄弟姉妹など)に応じて追加の戸籍が必要です。費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です(裁判所の案内)。順位別の一覧は相続放棄の必要書類と費用にまとめています。

出典(一次情報)

いずれも2026年10月15日に確認しました。

この記事は、2026年10月15日時点の法令と公式の情報にもとづく一般的な説明で、法律・税務の助言ではありません。個別の事情(相続人の確定、期限の起算点、税額など)によって結論が変わることがあります。具体的な判断は、家庭裁判所・税務署・法務局の窓口、または弁護士・税理士・司法書士にご相談ください。

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確認者:板野 克基(株式会社ブライトアセット 代表取締役) 最終更新日:2026年10月15日(条文はe-Gov法令検索で同日に確認) 編集方針と確認の手順